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当院の体外受精の特徴 その① 価格

現在、日本には約600の日本産科婦人科学会の体外受精登録施設(ART認定施設)が存在します。

当院も、内装工事が完了したら、早速、認定申請をする予定です。なぜ、認定申請をするのかというと、各自治体の生殖医療治療費補助制度を受けるためには、患者さんが受けている体外受精をしている病院・クリニックが、ART認定施設でないといけないのです。2回受けると、年間20万円の補助額になります。これは、保健医療となっていないARTでは、見逃せない額です。

さて皆さん、ARTは高い、と思っていらっしゃいますよね。私が在籍していた頃の東京の値段ですが、1回受けると総額70~80万円に達することがあります。採卵して胚移植までの料金は45万円くらいと標榜しておりますが、その前後の検査代・注射代・投薬代を含めると、結局そのくらいかかってしまうというわけです。注射をあまり、使わない方式は、それよりも安くなるのですが、1回あたりの採卵数が少ないので、採卵そのものの回数が増えてしまい、妊娠するまでにかかる費用は、結局高くなってしまうことも十分考えられます。

「子供が授かる」というのは、医療機関にかからず自然にできた場合は、費用ゼロですから、費用がかかる不妊治療というのは、不公平と言えば不公平です。不妊症」自体は、病気と認定され、保険治療の対象となりますが、「体外受精」は保険適用になりませんので、とりわけ、不公平ではあります。なぜ、保険適応にならないか、はここで議論しません。とにかくこれが現実だとして、いくらまでなら、皆さんは、子供を授かるまでにお金を出してよい、と考えていらっしゃいますか?受ける患者さんは、せいぜい40代までの患者さんで貯蓄はあまり余裕がなく、しかも、この不況、あまり出せないだろうと、わたしたちは考えています。

 

わたしたちも、できるだけ、良心的な価格を設定したいと考えています。

おおざっぱに考えると、体外受精というものの値段は、以下の図式が基本ではないでしょうか?

(施設費用÷利用人数)+(試薬代・使い捨て器具代)+((人件費・運営費)÷利用人数)+経営者の利益

例えば、施設費用を3000万円(五年償却)、人件費(培養士+看護師+事務)・運営費を年間1000万円、利用人数を年間100人、試薬代・使い捨て器具代を4万円とします。3000万円施設費用をかけると、エアシャワー・クラス10000クラスの培養室・クラス100クラスのクリンベンチでの顕微授精・レーザーアシストハッチング・IMSIなどが実現できます。当院も、このクラスの設備を揃えています。設備というのは、手を抜けば、この半額でも顕微授精まで十分にできます。それでも、ART認定施設のすべて対応施設(体外○顕微○凍結○)です。昔に登録された有名でない施設は、たいてい清潔度のレベルが落ちます。HPをみて設備内容が分からなければ、そこまでかけられていないと判断してもよいのかな、と思います。

そうすると、

(600万÷100)+4万+(1000万÷100)+経営者の利益=20万+α となります。

実際には、これに注射代・くすり代・検査代が入ります。これもやり方によって費用はだいぶ変わってきます。なるべく最小限の費用で保険治療に換算すると5万くらい、ちょっと丁寧にやると、7万くらいかな、と思います。

これが、利用人数200人でも、人件費・運営費は2倍とはならず、せいぜい2人くらい(月30万x12x2=720万円)増えるだけですから、

(600万÷200)+4万+(1720万÷200)+経営者の利益=15.6万+α です。

そこで、当院の体外受精の特徴の一番を、「きちんとした体外受精・顕微授精をリーズナブルな値段」で受けられる、ということにしました。わたしたちが考えたのは、以下の料金設定です。

longGnRHa周期  トータル30万円くらい!    クロミフェン周期     トータル20万円くらい!

 

トータルというのは、投薬代・注射代・検査代を含めた価格です。また、凍結に関しては勘定に入れていません。凍結に関してのわたしたちの考えては、別の機会に書きます。100人の患者さんが体外受精を受けてくれないと、経営者の儲けゼロどころか下手すると赤字、200人来てくれたら、1人5万円の利益として、1000万円利益がでますよ、ということです。実際には、運転資金の借入には利子が発生しますし、利益がでたら税金も払わなければなりませんし、一方、減価償却費という概念も発生するので、こんな簡単な計算ではすみません。けれど、概念的に、「ぎりぎりの価格である」ということをご納得いただけたら、と思います。

当初、これでスタートして何年かやってみて、経営の収支で、また料金設定を変えるかもしれません。わたしたちとしては、さらに良心的な価格でご提供できることを望んでいます。