② 不妊症の原因
男性不妊、女性不妊に関わらず、1年間夫婦生活を営んでいても、妊娠しない夫婦を不妊症と定義します。
10%の夫婦が不妊症と推定されていましたが、女性の結婚年齢が高くなったことなどにより、不妊症は10%よりも増加してきています。
男性に不妊症の原因のあるカップルが約4組に1組、男女ともに不妊症の原因があるカップルも約4組に1組もあります。
妊娠は、妊娠の成立のところでご説明させていただいた、どの場所が障害されても、成立しません。
不妊症の原因は、下記の点のどれかと推測されるのですが、不妊検査で行えるのは、①卵巣に働きかけている性腺刺激ホルモンの量やバランスが適切か?②卵管が閉塞していないか?③排卵期の頚管粘液中に精子がいて動いているか?④排卵前後に卵胞に変化があるか?(排卵しているか?)という部分に過ぎません。⑤卵管が、排卵された卵子を拾い上げているか?⑥卵管内で卵と精子が出会えて受精しているか?⑦胚は正常に分割しているか?⑦胚は適切な時期に子宮内膜内に埋没(=着床)しているか?という部分については、お腹の中に顕微鏡を持ち込めないので、ミクロの世界を探ることができません。腹腔鏡手術でお腹の中をマクロでのぞいてみても、⑤も確定的なことはわからず、⑥⑦に関してはわかりません。これらの部分は、卵を外に持ちだして、顕微鏡下に受精させ、その分割を観察するという体外受精操作によって、障害の有無が明らかになります。そのため、現在、体外受精が、不妊治療の中心となっております。
不妊症の原因は、以下のように分類されます。治療と、あわせてご説明いたします。
1
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性機能因子:男性側(勃起障害、射精障害→バイアグラ) 女性側(処女膜狭窄症→小手術、心理的な障害 →カウンセリング) |
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2
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男性因子 :精液量・精子数が少ない。運動精子が少ない、奇形精子が少ないなど →軽症なら人工授精、重症なら体外受精 |
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3
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頚管因子 :頚管粘液が悪い →人工授精 | ||||||||||||||||||
4
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子宮因子 :先天性子宮奇形、子宮筋腫(粘膜下筋腫、びまん性筋腫)、子宮内膜ポリープ、子宮内腔癒着症など →手術をしてみる価値あり | ||||||||||||||||||
5
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卵管因子 :感染症・内膜症による卵管狭窄・閉塞・卵管采障害、卵管内膜繊毛障害、形成不全 →1年間の妊娠率20%の卵管形成術か、妊娠率90%の体外受精 |
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6
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排卵因子 :よくお目にかかり、正確な診断が求められます。
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7 | 受精因子 受精障害は、卵側と精子側のどちらの側のどの時点でも起こります→顕微授精子宮内膜症 | ||||||||||||||||||
8 | 免疫異常
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